【労災保険の概要と適用範囲】

労災保険とは

労働者災害補償保険法 第1条(目的)

労働者災害補償保険は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、 あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかつた労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、適正な労働条件の確保等を図り、もつて労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。

 

この保険制度の管理・運営(管掌)は、政府(厚生労働省)が行うこととされ基本的には、労働基準法が適用される事業が対象となります。

労働者の災害補償義務は労働基準法で定められており、労災保険から給付を受けられる場合は、使用者はその補償の責を免れるとされています。

従いまして、この保険制度は公的医療保険とは異なり、使用者が労働者への災害補償を行うための保険制度です。

労働基準法 災害補償(第75~84条)条文参照

労災保険の業務上の疾病については、労働基準法施行規則第35条を参照して下さい。

業務上の疾病範囲について(労働基準法施行規則第35条)

特定業務について(粉じん作業を行なう業務・振動工具使用の業務・鉛業務・有機溶剤業務)

※特定業務従事者は、健康診断(労働安全衛生規則45条)、特殊健康診断(法第66条第2項及び第3項、じん肺法)が必要です。

労災保険の適用範囲

【1】労災保険の適用事業所

労働者災害補償保険法 第3条(適用事業)

 この法律においては、労働者を使用する事業を適用事業とする。

2.前項の規定にかかわらず、国の直営事業及び官公署の事業(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)※別表第一に掲げる事業を除く。)については、この法律は、適用しない。

※労働基準法 別表第一に掲げる事業

1. 物の製造、改造、加工、修理、洗浄、選別、包装、装飾、仕上げ、販売のためにする仕立て、破壊若しくは解体又は材料の変造の事業(電気、ガス又は各種動力の発生、変更若しくは伝導の事業及び水道の事業を含む。)
2. 鉱業、石切り業その他土石又は鉱物採取の事業
3. 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業
4. 道路、鉄道、軌道、索道、船舶又は航空機による旅客又は貨物の運送の事業
5. ドック、船舶、岸壁、波止場、停車場又は倉庫における貨物の取扱いの事業
6. 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業
7. 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業
8. 物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業
9. 金融、保険、媒介、周旋、集金、案内又は広告の事業
10. 映画の製作又は映写、演劇その他興行の事業
11. 郵便、信書便又は電気通信の事業
12. 教育、研究又は調査の事業
13. 病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業
14. 旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業
15. 焼却、清掃又はと畜場の事業

労災保険に代わる制度が定められている適用除外事業及び任意適用事業を除いては、労働者を使用する事業は全て労災保険の適用を受けます。

尚、労働者ではなく同居の親族のみを使用する事業や家事使用人などは対象となりません。

事業所が保険関係成立届けをしていなくとも、労働者を使用すれば労災保険の適用を受けることになります。

未届けの状態で業務上災害が発生した場合は、未加入災害として給付費用の一部及び追徴金が発生します。

【2】労災保険給付の判断基準

前述の通り『業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等』に対して保険給付が行われます。

「労働者」とは

労働基準法第9条(労働者)

この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

簡単に言えば、会社に労務を提供してその対価として賃金が支払われていれば労働者ということになります。

例え、労働基準法の適用を逃れるために委託契約書などを作成してあっても実態として勤務時間を拘束したり、具合的な指揮命令などをしていれば労働者と認められ、法律に照らしての判断が基準となります。

参考 「使用者」

労働基準法第10条(使用者)

この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他事業の労働者に関する 事項について、事業主のために行為するすべてのものをいう。

【3】労災保険給付の通則

労働者災害保険法 第12条の5(退職・担保)

保険給付を受ける権利は、労働者の退職によつて変更されることはない。

第2項 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。ただし、年金たる保険給付を受ける権利を独立行政法人福祉医療機構法 (平成14年法律第166号)の定めるところにより独立行政法人福祉医療機構に担保に供する場合は、この限りでない。

労働者災害保険法 第12条の6(非課税)

租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として課することはできない。