労災保険の給付手続きを知っている方はあまり多くなく、とりあえず健康保険被保険者証を提示して受診するケースがあります。
この場合、速やかに会社へ「健康保険で受診」したことを連絡すると共に、会社から医療機関へ労災保険給付であることを伝えてもらって下さい。
後日、労災保険給付請求書を提出する際に領収書と認め印を提示すれば一部負担金を返金してくれます。
※月末の場合は、診療報酬締め日後とされて返金に応じてくれない場合もあります。
この場合、後日労災として療養補償給付を提出しても、健康保険での負担額を納付した上で費用請求(証明料は自己負担)となることがあります。
保険医療機関では、保険診療報酬を診療報酬支払基金や健保組合に毎月請求しています。
健康保険証を使用すればこの請求に含まれ、取消や返金といった作業が発生することになります。
このような迷惑を掛けないように、手続き等でわからない場合は医療機関窓口でご相談下さい。
また、健康保険で受診したままにしておきますと診療報酬支払基金や健保組合で業務災害による疑いがあるものに対して調査があり、
発覚した場合には、一部負担金を除く診療報酬全額を支払い労災保険へ請求することになります。
被保険者が立て替えることなく労災保険と健康保険(国保含む)の間で調整されるようになりました。(平成29年2月1日基補発02021第1号)
①支給決定を行った労働基準監督署は、被災労働者等の申出等により健康保険から給付を受けていたことを把握した場合には、(健康保険の)保険者の同意が得られれば労災保険から直接保険者に振り込むことにより、保険者への返還手続きが可能であることを説明する。
②被災労働者等が、療養(補償)給付たる療養の費用請求書(様式第7号又は様式第16号の5。以下「請求書」という)。の支払先として保険者の口座を指定することを申し出た場合には、次の手順により被災労働者が保険者に返還する金額等について保険者との調整を行う。
ア.労働基準監督署は保険者に連絡し、保険者との調整において口座振込が可能であることが確認できた場合には、返還予定額の通知書案と根拠になるレセプトを労働基準監督署あてに送付依頼を行う。その際、保険者から被災労働者の療養に係るレセプトを入手することについての同意書を提出してもらう。
イ.労働基準監督署は、保険者から送付されたレセプトのうち私傷病に係る療養の費用の有無を確認し、至急の可否の判断の上、労災保険から支給することが見込まれる金額と支給対象となる期間(療養開始年月日)等を保険者に連絡。
ウ.労働基準監督署と保険者との間で金額を確定した後、労働基準監督署は保険者に対して被災労働者等あてに返還額を通知するよう依頼すること。また、被災労働者等に対しては、当該返還通知書等を受け取ったときは、療養の費用を請求するよう連絡すること。その際、診療費の自己負担分がある場合は、これも併せて請求するよう教示すること。
③療養の費用請求に当たっては、請求書に、次の書類を添付させること。
ア.保険者から送付された返還通知書等(原本)
イ.委任状
④被災労働者等が医療機関に支払った自己負担分がある場合は、上記③の療養の費用請求書とは別に、従来通り、医療機関が発行した領収を証する書面を添付して、別途請求させること。
※自己負担分の療養の費用請求書を医療機関は作成しますが、添付する領収書は、医療機関支払分と健康保険に支払った分の領収書の両方(10割分)を添付しなければなりません。また、複数診療科を受診している場合、それぞれに療養の費用請求書を作成しますが、健康保険で発行する領収書は1枚になります。この場合は、複数診療科の療養の費用請求書と健康保険の領収書をまとめて提出して下さい。