「医療機関での針刺し(採血、注射等)事故」は、単に針で刺してしまったという外傷性事故では済まず、
患者の汚染血液による曝露事故につながる危険が存在します。
汚染血液による曝露事故については、
1.患者の診療若しくは看護の業務、介護の業務又は研究その他の目的で病原体を取り扱う業務による伝染性疾患
2.動物若しくはその死体、獣毛、革その他動物性の物又はぼろ等の古物を取り扱う業務によるブルセラ症、炭疽病等の伝染性疾患
3.湿潤地における業務によるワイル病等のレプトスピラ症
4.屋外における業務による恙虫病
5.1から4までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他細菌、ウイルス等の病原体にさらされる業務に起因することの明らかな疾病
として定めており、発症した場合には業務上の疾病として取り扱われます。
針刺し事故における療養範囲としては、汚染された血液との接触部位や受傷部位の処置、洗浄、消毒まで。
その際、医師が抗体検査等の必要性を認めれば、その検査費用及び経過観察も療養となります。
これについては、予め労働基準監督署への報告などは必要としていません。
尚、医療機関での「曝露事故」に対して医院内で療養した場合も、当然 労災保険給付を請求することが可能です。
「汚染血液による曝露事故」により発症した場合
1.病原体を取り扱う業務に従事し、且つ、発症原因となった汚染血液等に接触した事実が認められること。
2.感染したと推定される時期から発症までの時期が潜伏期と一致ないし、一定の時期に陽性と診断されていること。
3.業務外の原因による感染でないこと。
以上の要件を満たした場合に、業務に起因する疾病として取り扱われることになります。
SARSについては、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が適用されます。
都道府県は、都道府県知事が第十九条若しくは第二十条(これらの規定を第二十六条において準用する場合を含む。)又は第四十六条の規定により入院の勧告又は入院の措置を実施した場合において、当該入院に係る患者(新感染症の所見がある者を含む。以下この条において同じ。)又はその保護者から申請があったときは、当該患者が感染症指定医療機関において受ける次に掲げる医療に要する費用を負担する
1.診察
2.薬剤又は治療材料の支給
3.医学的処置、手術及びその他の治療
4.病院への入院及びその療養に伴う世話その他の看護