【業務上災害でよくありそうな質問】

1.業務災害での負傷・疾病は労災指定病院で治療を受けなければなりませんか?

2.業務災害での負傷ですが、手続きがわからなかったので健康保険で受診してまった。

3.業務上での腰痛認定について教えて下さい。

4.医療関係者が使用済針で刺してしまった場合の療養範囲は?

5.うつ病についての取扱い基準について教えて下さい。

6.労災指定病院以外で治療を受けたが療養費用の証明をしてくれない。治療費は?

7.仕事中に転倒し、当初は大丈夫だと思ったが2~3日して痛みがひどくなったので療養を受けたい?

8.不法残留者が業務災害で負傷した。労災保険を使っても大丈夫?

9.労災保険を使用すると会社に不都合なことがありますか?(メリット制について)

【回答】

労災保険を使用した場合、労災保険上と業務災害に付随するデメリットがあります。

まず、労災保険上のデメリットでは労災保険を使用した場合に発生する給付金額により労災保険料率に影響します。

労災保険料率は、労災保険料に直接影響し全額事業主負担です。

労災保険料 = 賃金総額(通勤手当含む)×労災保険料率

保険給付に要した費用に応じて労災保険料率を増減させるメリット制という仕組みです。

基準となる3月31日の属する保険年度から過去にさかのぼって連続する各保険年度において次の要件のいずれかを満たしているについて適用されます。

・100人以上の労働者を使用する事業

・20人以上100人未満の労働者を使用する事業であって、その使用労働者数に労災保険料率から通勤災害に係わる率(0.6/1000 平成21年4月~)

 を減じた率を乗じて得た数が0.4以上であるもの  労働者数 × (労災保険料率 - 通勤災害に係わる率) >= 0.4

・一括有期事業である建設の事業及び立木の伐採の事業については、確定保険料が100万円以上である事業

 

算出方法は、以下の式でメリット収支率を算出し増減率表から増減率をもとめ、

労災保険料率から通勤災害に係わる率を減じたものに増減率を乗じた分を加減します。

 

①遺族失権差額一時金及び遺族特別一時金
②障害補償年金差額一時金及び障害特別年金差額一時金
③特定疾病者に関する保険給付及び特別支給金
④第3種特別加入者に係わる保険給付及び特別支給金
前々年度3月31日以前
3年度間に業務災害に
関して行われた保険給付の
額及び特別支給金の額
メリット収支率
×100
前々年度3月31日以前3年度間の
一般保険料の額(通勤災害保険料の額除く)及び
第1種特別加入保険料の額(通勤災害保険料の額除く)
×第1種調整率

 

メリット制の増減率

収支率 増減率
建設の事業及び立木の
伐採の事業以外の事業
建設の事業及び
立木の伐採の事業
5%以下のもの 45%減(特例メリット※のみ)  
5%を超え10%までのもの 40%減 30%減
10%を超え20%までのもの 35%減 25%減
20%を超え30%までのもの 30%減 20%減
30%を超え40%までのもの 25%減 15%減
40%を超え50%までのもの 20%減
50%を超え60%までのもの 15%減 10%減
60%を超え70%までのもの 10%減
70%を超え75%までのもの 5%減 5%減
85%を超え90%までのもの 5%増 5%増
90%を超え100%までのもの 10%増 10%増
100%を超え110%までのもの 15%増
110%を超え120%までのもの 20%増 15%増
120%を超え130%までのもの 25%増
130%を超え140%までのもの 30%増 20%増
140%を超え150%までのもの 35%増 25%増
150%を超え160%までのもの 40%増 30%増
160%を超えるもの 45%増(特例メリット※のみ)  

※特例メリット:都道府県労働局長に快適職場推進計画を提出・承認を受けた中小事業主

 

次に業務災害に付随するデメリットですが、

休業4日以上見込まれる場合には労働災害死傷病報告書の届出を行わなければならず、

労働基準法を違反している会社にとっては非常に提出しにくいものです。

重大災害や重点安全対策等対象の災害であれば労働基準監督署の臨検を受ける可能性は高いと言えます。

法律違反が是正されるのですからデメリットとは言えないかもしれません。

 

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10.労災保険には保険証(被保険者証)はないのですか?