この法律においては、労働者を使用する事業を適用事業とする。
第2項 前項の規定にかかわらず、国の直営事業及び官公署の事業(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)※別表第一に掲げる事業を除く。)については、この法律は、適用しない。
労災保険法において事業とは、一定の場所において或る組織のもとに相関連して行われる作業の一体をいい、強制適用事業であるか否かは、その作業体即ち事業場の実態によって決定すべきものである
1.事業の概念
労災保険において事業とは、労働者を使用して行われる活動をいい、工場、建設現場、商店等のように利潤を目的とする経営活動のみならず社会奉仕、宗教伝道等のごとく利潤を目的としない活動も含まれる。
2.適用単位としての事業
一定の場所において、一定の組織の下に相関連して行われる作業の一体は、原則として一の事業として取り扱う。
工場、鉱山、事務所等のごとく、事業の性質上 事業の期間が一般的には予定し得ない事業を継続事業という。継続事業については、同一の場所にあるものは分割することなく一の事業とし、場所的に分離されているものは別個の事業として取り扱う。
但し、同一の場所にあっても、その活動を明確に区分することができ、経理、人事、経営等業務上の指揮監督を異にする部門があって、活動組織上独立したものと認められる場合には、独立した事業として取り扱う。
木材伐採の事業、建物の建築の事業等事業の性質上一定の目的を達するまでの間に限り活動を行う事業を有期事業という。有期事業については、当該一定の目的を達するために行われる作業の一体を一の事業として取り扱う。
1.請負による土木建築事業において2種類以上の事業を包括し各事業ごとに請負金額又は、使用労働者が区別されることのみをもって直ちに夫々を独立した事業とは認めがたく夫々の規模、或いは関連性を勘案し認定することが肝要である。
2.建築事業が主たる事業とみなされ場合において、たとえ他の業者が請負っても施工時期がほとんど同時である限りすべてを建築事業として取り扱うべきである。
3.完成されるべき工作物についての保険料率によるべきである。
厚生労働省令で定める事業が数次の請負によつて行われる場合においては、災害補償については、その元請負人を使用者とみなす。
第2項 前項の場合、元請負人が書面による契約で下請負人に補償を引き受けさせた場合においては、その下請負人もまた使用者とする。但し、二以上の下請負人に、同一の事業について重複して補償を引き受けさせてはならない。
以上から、建設業においては、請負事業者が事業主として労災保険の適用を受けることになり、下請事業者の労働者は元請の労災保険の適用となります。
但し、下請け事業の事業主は、もともと労働者としての適用がありませんので労災保険の対象とはなりません。
このため、下請け事業主及び一人親方は、元請事業主から労災保険特別加入制度への加入を求められることになります。