【労災保険でよくありそうな質問】

1.通院費の請求は可能ですか?

2.就業後のアルバイトでの労災保険は?

3.療養(補償)・休業(補償)を受けていますが、退職後も受けられますか。

4.地震(天災地変)によって業務中(通勤途中)に被災した場合は?

【回答】

「業務上の事由」ページで述べていますように、

『業務遂行性が証明され、業務起因性に対する反証がない場合には、業務起因性を認めることが経験法則に反しない限り、一般の業務上の災害と認められる。』

「業務起因性に対する反証」

・業務逸脱行為、業務離脱行為、恣意的行為

・私的事由(私的行為、自己又は他人の故意)

・天災事変等の自然現象

・局外的な事象(戦争など)

「地震」は、反証事由にもありますように

「天災地変については不可抗力的に発生するものであって、その危険性については事業主の支配、管理下にあるか否かに関係なく等しくその危険があると言え、個々の事業主に災害発生の責任を帰することは困難。」

とされています。

しかし、「昭和49年10月25日 基収第2950号」では

「天災地変に際しての災害については、家屋の倒壊や落石・土砂崩壊を直接原因として発生するものであり、この場合、もともと家屋或いは山等の周囲の状況が災害(倒壊・落石崩壊)を引き起こす危険な要因を有していたという場合において、たまたま天災地変が契機となって家屋の倒壊或いは、山の崩壊を生ぜしめた場合は、業務起因性の反証事由としての「天災地変」によるというべきではなく、天災地変を契機にとして当該家屋等に内在した危険が現実化したと見るのが妥当である。」

という解釈を示しております。

このことから、潜在的な危険がある業務で天災地変が契機となって起きた災害については、「業務災害」として認められます。

「天災地変」であれば事業主の責めはなく、「潜在的な危険がある業務」が「天災地変」によるものであれば事業主が責めを負うというのは疑義が残ります。

※事業場施設からの避難する際の災害

「業務遂行中」に事業場施設に危険な事態が生じたため、業務行為の継続が困難と判断し、危険を避けるため当該施設外へ避難するという被災労働者らの行為は、単なる私的行為又は恣意的行為と異なり合理的な行為、すなわち業務付随行為であり当該避難行為が、私的行為又は恣意的行為と認められない限り、かかる避難行為中の災害については業務起因性が認められる。」

【通勤途上における天災地変】(昭和50年4月7日 基収第3086号 一部抜粋)

労災保険法にいう通勤災害とは、通勤に通常伴う危険が具体化したものと経験法則上認められる場合をいい、いわゆる天災地変による災害の場合には、たとえ通勤途上に発生したものであっても、一般的に「通勤による」ものとは認められない。
しかしながら、かかる天災地変に際して、通勤途上災害に被りやすい特段の事情がある場合には、天災地変による災害の危険性も、同時に、通勤に伴う危険と解することができる。
従って、天災地変に際して発生した災害も同時に災害を被りやすい通勤途上の特段の事情があり、且つ、その事情とあいまって発生したものと認められる場合には、通勤に通常伴う危険が具体化したもの、すなわち「通勤による」ものと認めることが相当である。
なお、天災地変の規模が特に大きい場合(例えば、関東大震災等による災害)には、通勤途上の有無を問わず、広範囲にわたって災害を被る危険性があり、たとえ通勤途上という事情がなかったとしても誰でも同じように天災地変によって被災したであろうと考えられるので、かかる場合の災害は、その発生状況の如何を問わず「通勤による」ものとは認められないこととなる。

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