副業・兼業されている場合の労災保険ですが、それぞれの会社との雇用関係に基づいた適用・給付が行われます。
例えば、A社に実働8時間勤務し、その後B社に勤務していたとします。
A社での労災保険の対象は、
・自宅からA社までの出勤が通勤災害。
・A社での勤時間中が業務災害。
B社での労災保険の対象は、
・A社からB社までの出勤が通勤災害。
・B社での勤時間中が業務災害。
・B社から自宅までの帰宅が通勤災害。
A社での業務・通勤災害は、A社で支払われた賃金に基づき保険給付が行われます。
B社での業務・通勤災害は、B社で支払われた賃金に基づき保険給付が行われます。
A社で業務災害により休業した場合、B社にとっては、B社との業務と関係のない欠勤と扱われます。
A社の休業補償は、特別支給金を含め平均賃金の8割相当、B社は欠勤で0でしたが、
令和2年9月1日改正により、A社の平均賃金に基づく給付基礎日額に、B社の平均賃金による給付基礎日額が加算されます。
B社が8時間勤務、その後、副業としてA社に勤務していた場合、A社での業務災害・通勤災害による休業ではB社は0になります。
やはり改正により、B社の平均賃金に基づく給付基礎日額に、A社の平均賃金による給付基礎日額が加算されます。
保険給付としては手厚くなりましたが、多くの会社は就業規則で「副業・兼業禁止」を定めており、懲戒処分の対象になることもあり得ます。
とは言え、就業規則で「副業・兼業禁止」を定めている場合は、ダブルワーカー保護制度の妨げになる恐れがありますので「副業・兼業禁止」を外し、
「職務専念義務」に留める必要があると思います。
余談ですが、B社で1日労働時間8時間、その後、A社は8時間超えて労働者を使用したことになりますので割増賃金を支払う義務があります。
午後10時以降については、深夜割増も支払わなければなりません。