「業務遂行性」の基本理論
傷病の原因となった労働者の行為が、業務の範囲であるかということ。
判断の基準としては、事業主の支配下・管理下であるかで判断します。
支配下とは業務の指揮命令を受ける状況であり、管理下とは事業主の施設や車両等の元にある状態を言います。
「在宅勤務者」は、自宅にて仕事をするわけですから事業主の管理下ではありません。
しかし、事業主から指揮命令を受けて仕事をするという点では支配下にあることになり「業務遂行性」は認められます。
ただ、被災当時に「業務遂行性」が認められるには、事業主の支配下にある労働者同様に、
就業規則の適用を受け勤怠管理及び指揮命令下にあったかが問題となります。
始終業時刻が定められ時間外・休日労働についても事業主の指揮命令下でなければならず、労働者の都合で自由に時間調整したり、
労働日を変更するようであれば必ずしも指揮命令下にあると言えなくなります。(業務遂行を目的とする業務委託と判断される可能性があります。)
この点に留意され、就業規則等で在宅勤務に対する労働条件を整備すると共に、
在宅勤務者の勤怠管理を具体的把握する方法等を確立しておかれる必要があると思います。