労災保険の療養(補償)給付の範囲には、「移送費」があります。
この「移送費」の範囲について説明しますと、
(1)災害現場等(自宅含め)から医療機関への移送費用
(2)医師又は、労働基準監督署の指示による転医又は、退院による移送費用
(3)通院
○傷病労働者の住居地又は勤務地と同一の市町村(特別区を含む。以下同じ。)内に存在する当該傷病の診療に適した労災病院又は労災指定医療機関(以下「労災指定医療機関等」という。)への通院(傷病労働者の住居地又は勤務地から片道2キロメートル以上の通院に限る。)。
○傷病労働者の住居地若しくは勤務地と同一の市町村内に当該傷病の診療に適した労災指定医療機関等が存在しない場合、又は交通事情等の状況から傷病労働者の住居地若しくは勤務地と同一の市町村に隣接する市町村内の当該傷病の診療に適した労災指定医療機関等への通院の方が利便性が高いと認められる場合における傷病労働者の住居地若しくは勤務地と同一の市町村に隣接する市町村内にある当該傷病の診療に適した労災指定医療機関等への通院(傷病労働者の住居地又は勤務地から片道2キロメートル以上の通院に限る。)。
○傷病労働者の住居地又は勤務地から片道2キロメートル未満の通院であっても、傷病労働者の傷病の症状の状態からみて、交通機関を利用しなければ通院することが著しく困難であると認められる場合における当該傷病の診療に適した労災指定医療機関等への通院。
○労働基準監督署長が診察を受けることを勧告した医療機関への通院。
以上の通院の要件に該当する場合に療養の費用として請求できます。
最寄りに傷病の診療に適した労災指定医療機関が有るにも拘わらず、自己の判断で選択したような場合は、これに該当しません。
特に、都市部の場合、勤務先・自宅周辺に通院費用を要さない指定医療機関が有ると思われますので通院費用の請求には注意が必要です。
非労災指定医療機関等に係る通院費の取扱いについて(平成20年10月30日 基労補発第1030001号)
非労災指定医療機関及び柔道整復師、はり師、きゅう師、あん摩・マッサージ・指圧師の施術所に係る通院費についても、
労災指定医療機関等に係る通院費に準じて取り扱うものとする。
『療養(補償)給付たる療養の費用請求書』の移送費欄に区間・金額等を記し、領収書を添付して労働基準監督署へ請求します。
医師の指示による移送については、『療養(補償)給付たる療養の費用請求書』の「傷病の経過の概要」欄に指示を行った旨を記載してもらって下さい。
尚、移送(通院)手段が鉄道・バス等の運賃で領収書がもらえないような場合は、診療日数から算定できますので領収書の添付は必要ありません。
※労働基準監督署によって、請求明細が必要になります。事前にご確認下さい。
判断が微妙な場合は、予め会社所在地を管轄する労働基準監督署労災保険課へお問い合わせ下さい。