通勤災害は、業務外の負傷・疾病ですから健康保険の給付対象となります。
しかし、健康保険では「他の法令による保険給付との調整」により。労災保険から保険給付が支給されるときは「保険給付を行わない」と定めています。
被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金若しくは埋葬料の支給は、同一の疾病、負傷又は死亡について、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)、国家公務員災害補償法(昭和26年法律第191号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)又は地方公務員災害補償法(昭和42年法律第121号)若しくは同法に基づく条例の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。
結論として、保険給付対象ではあるけれど、支給調整により保険給付されないと言うことになります。これは国保も同様です。
明確に通勤途上災害とわかっていれば最初から労災保険で受診できますが、判断つきにくいケースはあります。
平成29年2月1日基補発02021第1号により労災保険から健康保険へ療養費が支払われるようになったことを考えれば、
健康保険を先行して受診した方が、療養費を立替払いをせずに健康保険から労災保険へ移行できます。
健康保険法の他の保険給付との調整とおりに、労災保険で保険給付を受けた後で労災保険から不支給決定を受けても、
労災保険での療養費用を一旦立て替えなければならず、微妙な案件は健康保険で受診してから労災保険へ給付請求した方が無難そうです。
健康保険から見れば財政逼迫した状況下でグレーゾーンの療養費を負担するのは制度趣旨に反していると言われそうですが。