このケースに関しては、会社から書類を忘れたことに気づいて戻る前までが通常の通勤行為です。
「書類を忘れたことに気づいて」以降が通勤の中断ですが、書類を取りに戻る行為は、「就業に関し」に該当し「住居と就業の場所との間の往復」に含まれます。
携帯電話や財布を自宅に忘れて戻る行為は「就業に関し」に該当すると思われます。
解釈例規に紹介されているものとして、「事業場内駐車場に止めた車のライト消し忘れに戻る途中の災害について」(昭和49・6・19 基収1759号)
通勤は、一般には労働者が事業主支配下にあると認められる事業場場内に到達した時点で終了するものであるが、本件のようにマイカー通勤者が車のライトの消し忘れなどに気づき駐車場に引き返すことは一般にあり得ることであって通勤とかけ離れた行為ではなく、この場合、いったん駐車場内に入った後でも、まだ、時間の経過もほとんどないことなどから通勤として取り扱うことが妥当である。
認められなかった例として、「昼休みに帰宅する途中の災害」(昭和49・5・27 基収1571号)
マイカー通勤している労働者が、昼休み時間(50分)を利用して勤務先で食事を取った後、近くの歯科医院へ治療に来ていた妻子を自宅まで送ろうとして、勤務先の駐車場から妻子の待っている場所に向かう途中、国鉄の踏切上にて急行電車と衝突し、即死したものである。
なお、被災労働者が妻子を迎えに行くために取った経路は、いつも利用している通勤経路であり、また、通勤所要時間は15分程度である。
本件の被災労働者が自宅に向かった行為は、その目的からみて、就業との関連性のないまったく個人的な行為であって、これを通勤災害と認めることはできない。
「通勤とかけ離れた行為ではなく」、「時間の経過もほとんどない」、という点からすると、
「就業に関し」、通勤に起こりえるような出来事で、通勤時間に含まれるような短時間行為であれば「通勤」として扱われることになるように思われます。
実際、支給決定するのは、労働基準監督署なので明言はできません。