通勤災害における「住居と就業の場所との間」ですが、具体的には住居の敷地内又は専有部分内は対象となりません。
解釈例規に、通勤時の玄関先での転倒による負傷が私有地内での事故を理由に不支給とされたものが挙げられています。
雑居ビルの玄関は、入居している事業所が共同管理しているものと判断し通勤災害と認めていないものがあります。
この例を住居としてオートロック式マンションに当てはめれば共有玄関の自動ドアまでが通勤経路で、
共有道路の場合は、不特定多数の者の往来が可能であるところまで通勤経路となります。
「アパートの階段における転倒災害」(昭和49・4・9 基収314号)
被災労働者は、出社するためアパート2階の自室(住居)を出て階段を下りる時、下から2段目のところで靴のかかとがひっかかったため前のめりに転倒し、負傷したものである。
・木造モルタル2階建て
・階段は、鉄骨作りの13段(1段の高さ23cm、角度45度)
本件については、労働者が居住するアパートの外戸が住居と通勤経路と境界であるので、当該アパートの階段は、通勤経路と認められる。