被災労働者は、事故当日いつもの起床時刻より遅れたため、朝食も取らずに通常より5分遅れて住居を出て、急いで自転車で約500メートル先の駅に向かった。
その後、労働者が駅構内下りホームに通ずる階段で倒れているのが発見された。
医師により手当てを受けたが、そのかいもなく急性心不全により死亡した。
通勤による疾病とは、通勤による負傷又は通勤に関連のある諸種(突発的又は異常な出来事等)が原因となって発病したことが医学的に明らかに認められるものをいうが、本件労働者の通勤途中に発生した急性心不全による死亡については、特に発病の原因となるような、通勤による負傷又は通勤に関する突発的な出来事等が認められないことから「通勤に通常伴う危険が具体化したもの」とは認められない。
従って、本件は労災保険法第7条第1項第2号の通勤災害には該当しない。